黒の舟歌

 まだまだ冬のつもりだったのに、春が土足で踏み込んできたというか。春の陽気は胸がざらざらする。
 金枝篇をとびとびで読んでいたら、久しぶりに旧約聖書を読みたくなった。新約聖書の欧米的ヒューマニズムよりも、旧約聖書の厳しさの中に、当時、そこに生きた人々の苦悩をかいまみる気がする。人間として、人間的に生きようとすればするほど、自然との共存も、人間も、遠くなるような感覚って、ずっとつきまとうのかな。