オムツの中は危険がいっぱい

 19歳のころ、お父さん死んで保険金が入ったので、当面のお金はあるし、疲れたし、1人でアパートにひきこもろうと思った時期がありまして。ひと月くらいの話です。週に一回、買出しに外に出るわけです。大量のスナック菓子にコーラにオムツ。食欲もとくに無いし、気力を振り絞らないとトイレにも立ち上がれないような時期があったんですよねー。なので、大人用オムツをはいていたのです。オムツ一丁で何もせずにひたすらベッドの中におりまして。心配してちょくちょくやってきた高校の同級生の本田君に「まみこぉ、オムツじゃなくて服着ろよぉ、ちゃんとご飯食べろよぉ、生きてればいいことあるよぉ」と泣かれたことがありまして。べつに死のうとしてないし余裕があるからやりたいことやってただけだし、「生きてればいいことがある」なんて言葉、なんて貧乏ったらしいんだ!とぞっとしたので「お前にそんなこと言われるほど貧しくない」と毅然と言ったのですが(オムツ一丁で)、まったくいいたいことは伝わっていなかったみたいです。そんな本田君が死んじゃったねー。
 若い人の自殺って悲しいけど、たいていヒロイックできもいわ。