みかえりの塔

 高円寺の四丁目カフェにいたらレイナちゃんに遭遇。驚く。わずかな時間、清水宏の酷さについて語ることができて嬉しい。あの酷さに気付く人はなかなかいない(と言う前に、清水宏の映画を見たことある人があまりいない。なんでも知ってる牛越君くらい。)ので、レイナちゃんとは近いものがあるのだと確信する。清水宏の映画の中でも2番目にひどい「みかえりの塔」を一番最初に見たというのがすごい。ちなみに一番酷いのは「サヨンの鐘」。「サヨンの鐘」も「みかえりの塔」もプロパガンダ映画だが、他のプロパガンダ映画の比じゃない酷さ変さに驚愕。清水宏って、あんまり考えがない天然の変人だったはず。見るたび不思議な気持ちにさせられる映画監督。清水宏と同い年の小津の映画とか見ると、小津ってちゃんとした人なのだなぁと思う。小津映画を連続で見ると、頭がおかしくなりそうになってなかなか好きだし、変態だと思うが、やはりちゃんとしすぎてる。ちゃんとした映画って惹かれない。人徳が無く、徹底的にダメな人に惹かれる。それが清水映画には端々に滲み出ている。私はまだまだ「いい人」なので、とことん嫌な奴になってダメに生きて、清水宏みたいなあまり人に評価されないいい映画を作ってみたい。(あ、小津は清水宏を天才って言ってたっけ。評価されてるな)
 高円寺のDORAMAには清水宏のコーナーがあるらしい。清水映画の最高傑作「蜂の巣の子供たち」はビデオ化されていないので見る機会があまりないのが残念だが、NHKで放送されたときに録画したのでレイナちゃんにお渡しします。VHSのデッキがあればの話だが・・・。ちなみにDVD化されてるもので「簪(かんざし)」、は爆笑できて和みます。
 最近映画を作ってないので、作り方を忘れてしまったような気がする。作ってたときもわけがわからなかったような気がするけれど、どんなもん作ったことがあるんだっけかと、20代前半のころに作った自分の映画を見てみた。村西とおるのAVみたい。若い娘がハメ(られ?)撮りしてる。見てたらハメ(られ?)撮りをしたくなった。とりあえずやること決めて(温泉旅行するとか恋愛するとかハメ撮りするとか好きな女の子を裸にするとか)その場の思いつきで適当な筋をくっつけるのがいつものやり方だった。話などあるようでいつも無い。ただ自分の欲求を他人を使って実行するだけ。
 好きな映画作家清水宏パラジャーノフ。2大天然監督。
 キアロスタミの「クローズ・アップ」は中学生のときにみて以来、一番好き。いまだに一番好き。映画というものへの概念を吹っ飛ばしてくれた。キアロスタミが好きというわけではなくて「クローズ・アップ」は映画の、愛の、人類の奇跡。